行政書士みうら国際法務事務所

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18歳成人問題

平成30年6月13日、参院本会議で、「成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法」が可決され成立しました。施行は2022年4月1日です。施行されれば、成人年齢の変更は1876年(明治9年)以来、146年ぶりとなります。

この狙いは、少子高齢化の進展を踏まえ、若者の自立を促して、社会の活性化につなげるとされています。

世界では、英国、ドイツ、フランス、中国、米国などが18歳成人を採用しています。

日本において実施されますと、国民生活に大きな影響を及ぼすことが予想されます。

<成人年齢引き下げのポイント>

民法改正に伴い、年齢ではなく、「成年」「未成年」区別を定めた約130の法律は、自動的に区別の基準が「18歳」になります。

この他で、注意すべきポイントは以下の通りです。

1、結婚できる年齢

これまで結婚できる年齢は男女で異なっていました。

現在は、男女ともに親の同意を条件に、男性は18歳から、また女性は16歳からとなっています。

施行後は男女とも18歳からと統一されます。成人になっていますので、親の同意は必要ありません。

2、ローンやクレジットカードの契約

これまでは、20歳未満は親の同意が必要でした。施行後は、18歳でも親の同意なく契約可能です。

このことは、経験の少ない若者がトラブルに巻き込まれる可能性が増大すると予想されます。

3、飲酒・喫煙・公営ギャンブル

このことについては、「健康への影響などを考慮し」20歳未満は禁止をそのまま維持します。

4、パスポート

現在は、20歳未満は「5年有効」のパスポートのみ取得可能ですが、施行後は「10年有効」も取得できるようになります。

5、民事裁判を起こせる年齢

これまで、20歳未満の人が民事裁判を起こすには、保護者などの代理人が

必要でした。施行後は18歳から自分で裁判を起こすことが可能です。

同様に、「性同一性障害」の人は、18歳から家庭裁判所に「性別変更」を

申し立て出来るようになります。

6、選挙権

2016年(平成28年)より、18歳以上の男女は選挙権を行使出来るようになりました。

<成人式>

「18歳成人」移行初年の2022年度は、成人式の対象者が18・19・20歳になり、例年の3倍に膨れあがります。

各自治体にとって、会場確保は悩みの種となりそうです。

 

成人式をいつ開くかも難題です。

文部科学省によると、全国の自治体の85%が1月に成人式を行っています。しかし、18歳成人になると、1月は大学入試シーズンと重なってしまいます。

このため、各自治体とも混乱を未然に防ぐ対策を慎重に協議・検討しています。

<少年法の適用>

少年法の適用年齢を20歳未満から18歳未満に引き下げるかどうかについては、法相の諮問機関である法制審議会において議論されています。

少年法にの適用年齢が下がると、18・19歳の少年は起訴され、実刑が確定すれば、刑務所に入って成人と同じ扱いを受けます。

 

法制審議会の中では、意見は2つに分かれています。

日本弁護士連合会から選ばれた委員は、引き下げに「反対」しています。理由は「少年院できめ細かな処遇が行われ、効果が出ている」というものです。

一方、「犯罪被害者団体」の代表を務める委員らは、「成人として扱われ

ることで犯罪の抑止につながる」として、引き下げに賛成しています。

 

ただ、法務省内では、改正民法との整合性を重視し、「2022年4月に改正少年法を施行させるべきだ」との意見が根強くあります。

尚、現行の少年法においても、18・19歳には死刑の適用を容認してい

ます。