行政書士みうら国際法務事務所

<最良の解決策をご一緒に考えましょう>

所有者不明土地 / 不動産登記簿と所有者の一致

<所有者不明土地>

「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が令和元年6月1日に全面施行されました。

内容は、所有者不明の土地について、都道府県知事の判断で最長10年間の「利用権」を設定することができ、公園や仮設道路、文化施設などの公益目的に限って利用することを可能にするものだ。

 

この法律に該当する「所有者不明」の土地は全国土の20%、約410万ヘクタールの面積を占めると推計されている。

これは367.5万ヘクタールの九州本土を大きく上回る面積で、驚くほどの土地の所有者がわからないという状況にある。

 

しかも、今後このまま登記制度を変えずにおけば、人口減少や少子化・高齢化により、所有者不明土地はさらに増えるとの指摘もなされている。

「所有者不明土地問題研究会」の試算によると、このまま対策を講じなければ2040年には北海道全土に相当する約780万ヘクタールにまで拡大する可能性があるとされる。

 

特別措置法の施行により、「利用権」を公益目的の利用に限定することなく、民間にも認めて当該制度の利用拡大を進めなければ、土地の有効活用を推進することは困難になると考えておく必要がある。

 

この制度が施行されると、各自治体が利用権を速やかに設定することで、利用の進まなかった土地に公園や道路、駐車場や地元物産品の直売所、イベントスペースに利用する広場などを造ることができるようになる。

<国土調査法・土地基本法の改正も視野に>

政府は今後の施策として、2020年までに国土調査法および土地基本法の改正を視野に入れている。

今回の特別措置法の成立・施行によって所有者不明土地の利用を促進するとともに土地所有者の把握を進め、その先に新たに所有者不明の土地が発生しないようにするために、売買・相続などで土地の所有者が変更された場合の登記を義務付けることが最終的なゴールになる。

 

すでに政府からは「所有者不明土地問題対策推進のための工程表」が公表されており、その中には所有者の氏名や住所が正確に登記されていない土地について、登記官に所有者を特定するための調査権限を与えたり、自治体が把握できる所有者の死亡情報と、国が管理している登記情報を紐付けて、所有者を速やかに調べられるようにする構想が掲げられている。

 

実際には、登記簿表題部の所有者の表記が「山田一郎 他3名」などと記載されている「変則型登記」が数多く存在しており、調査権限が与えられれば、権利関係を明らかにすることが可能となり、税金の徴収および土地の活用の促進が期待できる。

<なぜ所有者が不明になるのか>

所有者不明の土地がこれだけ増えて社会問題化した背景には、土地の相続人が所有者の変更について登記簿に記載する義務がないことが密接に関わっている。

 

売買による所有権の移転であれば、登記しないということはまず考えられない。しかし、相続は状況が違う。

まず、新たな所有者がその土地・家屋に居住しているなら、登記しなくても実生活で支障はない。

 

相続の発生によって多数の相続人がいる場合は、登記が煩雑で費用も相応に発生するため、いつの間にか時間がたってしまい、そのまま放置されるケースが全国で多発しており、いざ権利関係を明確にしようとすると所有者が特定できなくなってしまうのである。

 

現在は任意となっている登記を義務付ければ、今後所有者不明の土地が増えることを防ぐことができる。併せて土地基本法には「所有者の責務」を明記することで登記を促す方針であるという。

<不動産登記簿と所有者の一致>

<実家を売却するには>

実家に住み続けることを選んだ方は土地・建物登記簿謄本の所有者が誰の名前であってもすぐに対応せずに済みます。しかし、売却を決めた方は所有者名が誰なのか注意する必要があります。例えば父親が生存しており、特別養護老人ホームに入所しているとします。認知症が発症していて、必要の場合は成年後見制度の法定後見人を決めておかなくてはいけません。認知症が全くなく、自己の意思を明確に伝えられるなら、その必要はありません。この状態で土地と建物の登記簿謄本をすべて確認します。農家を営んでいた場合は「母屋(居宅)」「納屋」「土蔵」などがあると思います。これらすべてが登記されていなければいけません。よくある例として、「納屋」や「土蔵」が登記されていないのです。売主として土地建物を売却するには必ず、すべての建物を登記しておかなくてはいけないのです。買主から見れば、登記していない建物を買うのは、極めて危険ですから、当然に登記を求めてきます。また、仲介する不動産会社や空き家バンクからも登記するよう、要請がきます。この逆で、すでに取り壊されているはずの建物の登記簿が存在することもよく起こります。この場合は滅失登記と言って、建物がない状態と一致させます。

<登記簿における所有者の氏名>

自分の父親が所有者である土地・建物の登記簿謄本において、その所有者の氏名は当然に父親になっていなくてはいけません。しかし、相続がかつてあったにも関わらず、所有者の氏名が「祖父」や「曽祖父」になっている場合も決してめずらしくはありません。この場合はすみやかに父親の氏名に変更しておく必要があります。但し、1人のみの意思で自由に変更することはできないのです。必ず、すべての相続人を探して、全員に相続の放棄をしてもらう必要があります。特に2代前の曽祖父の氏名になっているのなら、相続人は数十名いる可能性があります。すべての相続人が何らの対価も求めず、すぐに印鑑を押してくれるとは限りません。いわゆる「ハンコ料」「判子代」を要求されることはめずらしくありません。全体で数十人もいれば100万円以上の支出を覚悟する心構えが必要となるでしょう。また、所有者が自分であれば、当然に自分の氏名になっていなくてはいけません。

<土地名寄帳/建物名寄帳>

各市町村は、自治体ごとに課税を目的として、「土地名寄帳」「建物名寄帳」を作成しています。従って、2つ以上の自治体に渡って、土地・建物を所有している方は、各自治体に出掛けて行って取得する必要があります。「納税通知書」も併せて確認して下さい。

行政書士みうら国際法務事務所は、各地域の司法書士及び土地家屋調査士と協力し、依頼者が都市に滞在したままで、故郷に戻ることなく登記手続きを完了できるように、登記のすべてを全国対応にて承ります。

行政書士みうら国際法務事務所、各地域の耐震診断実施会社と協力し、依頼者が都市に滞在したままで、故郷に戻ることなく、実家の耐震診断を受けられるように、耐震診断を全国対応にて承ります。

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