行政書士みうら国際法務事務所

<最良の解決策をご一緒に考えましょう>

同性結婚/性別の変更/氏と名の変更

<同性結婚>

平成25年3月1日、東京ディズニーリゾートにて若い女性同士の結婚式が行われました。その一人は、元宝塚花組男役の 東 小雪(ひがし  こゆき)さんです。この模様は新聞やテレビでも大きく報道されました。日本国内で同性結婚式が初めて広く知れ渡った出来事でした。

 

<ジョディー・フォスターさんが同性婚>

 平成26年4月、AP通信により、アメリカの人気女優ジョディー・フォスターさんが女性写真家と結婚していたことが報道されました。フォスターさんは「告発の行方」「羊たちの沈黙」で、アカデミー賞主演女優賞を2度受賞しており、知性派として世界的に広く指示されています。私生活では2人の息子がいますが、同性愛者であることはすでに公にしていまし

た。


<東京都渋谷区の試み>

東京都渋谷区は平成27年度、区内在住の20歳以上の同性カップルを「結婚に相当する関係」と認め、ートナー」であることを承認する証明書を発行する。3月区議会に条例案を提出し、可決されれば4月に施行の計画です。ただ、日本では同性婚を法律上認めておらず、証明書にも法的な効力はありません。対象は互いを後見人とする公正証書などを区に提出した同性カップルとしています。

 

日本では同性同士の結婚(同性結婚)は認められていません。2012年12月の総選挙に際し、LGBT団体「レインボープライド愛媛」が各政党に対して行ったアンケートによると、同性結婚に対する各党の態度は以下のようになっています。(2012年時点で衆議院に議席を有する主要政党の内、「みんなの党」からは回答が寄せられなかったとの事です。但し、「みんなの党」はLGBT政策を公約に掲げています)

 

LGBT(エル・ジー・ビー・ティー)→女性同性愛者(レズビアン)・男性同性愛者(ゲイ)・両性愛者(バイセクシュアル)・性転換者・異性装同性愛者(トランスジェンダー)の人々をまとめて呼称する言葉です。性的少数者と同一視されることも多いがLGBTのほうが、より限定的な概念です。

 

*電通総研が2012年に全国の20~59歳の男女7万人にインターネット上で行った調査では、5.2%の人が「LBGTである」と回答したとの報告があります。

 

*LGBTのほかに、「自分には性別がない」と思っている「無性別」の人や、性欲を持たない「ノンセクシュアル」の人もいるとされます。

 

 主要政党からのアンケート回答 

<A>同性でも婚姻制度を適用できるようにすべきだ(日本維新の                  会・社会民主党)

<B>現在の結婚に変わる制度、異性同性を問わず利用できるパー                  トナー制度が出来るべきだ(日本共産党)

<C>こうした制度は異性間のものであるべきで特に必要ない(自                  由民主党)

<D>答えられない/わからない(民主党・公明党・国民新党)

 

以上のように、政党の中には賛成や理解を示す党もある一方、反対する党もあります。2013年9月現在、国会内で同性結婚に関する討論が行われたことはありません。  

<性別の変更>

*ここでの性別の変更とは戸籍における変更を指しています。

元々、男女の性別は性染色体の型によって明確に分かれています。しかし、人が受精してから胎児として成長する中で様々な事が起こります。男女の性器に当たる器官は最初は同じなのです。それが胎児として発育して行く中で別の形や機能を備えたものに徐々に形造られていく訳です。ですからその途中で、男子と女子の特性を合わせ持つ子もできるのです。性器の形においても現れます。分かり易く言えば、女性であるのに、ペニスと間違えるような性器を併せ持つ子もいるのです。これを「半陰陽」あるいは中間的な性質の意味で「間性」と呼ばれます。この逆も起こります。男子で精巣を持っているにもかかわらず、外形は女性器をしているのです。出産直後の男女の判定は外性器の形態によって行われます。ですから間違えられてしまう事も起こるのです。戸籍上誤って性別を記載されるのは「錯誤」です。この場合は「錯誤」として、後に家庭裁判所の審判で訂正することができます。

性同一性障害

平成16年7月16日から施行された「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」により、法律が定める要件を満たせば性同一性障害をかかえる人々が戸籍上の性別を変更することが可能となりました。

 

1969年に東京地裁で、3人の男性に性転換手術を行った産婦人科医に対し優生保護法(現母体保護法)違反で有罪の判決が下されて以来、性同一性障害についての問題は地下に潜ってしまいました。その後、30年近くの歳月を経て、1998年10月に国内で初めて、医療行為として認められた性転換手術が埼玉医科大学において行われました。

埼玉医科大学の答申によりますと、「性同一性障害とは生物学的には完全に正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性に属しているかをはっきり認知していながら、その反面で人格的には自分が別の性に属していると確信している状態」と定義されています。又、「この確信は不可逆なもので、1歳半~2歳頃までに成立し、一度成立したら変わらないものである」とされています。男性では3万人に1人、又、女性では10万人に1人程度の割合でこの「疾患」に悩んでいるとされます。

性別変更の審判

現在、全国の家庭裁判所は性同一性障害者であって、次の1~6までの要件のいずれにも該当する者について、性別取扱い変更の審判をしています。

1、2人以上の医師により、性同一性障害であることが診断されていること。

2、20歳以上であること。

3、現に婚姻をしていないこと。

4、現に未成年の子がいないこと。

5、生殖腺がないこと、又、生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。

6、他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること。

 

審判の申立人は、性別の取り扱いの変更を求める本人が、住所地の家庭裁判所に対して、規定の申立書に2人以上の医師の診断書及び申立人の出生時から現在までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)を添えて申立ます。

 

その後、家庭裁判所調査官による調査や裁判官による事情聴取を経て、裁判官は性別の変更の取り扱いをするかどうか慎重に判断します。平成25年9月現在、この制度によって、性を変更した人は600人以上いるとされています。

 

変更の審判を受けた場合には、申立人を筆頭者とする新戸籍が編製され、父母との続柄欄が更正されます。尚、名前も変更したい場合は、この手続き以外に「名の変更許可」の申立てをします。名の変更は比較的スムーズに進むようです。他に「氏の変更許可」という審判もありますが、こちらはかなり難しいようです。