行政書士みうら法務事務所

<最良の解決策をご一緒に考えましょう>

認知・強制認知・非嫡出子・妊娠届・母子手帳・自力出産・無介助出産

認知の変遷と戸籍

婚姻関係にない男女に生まれた子を「非嫡出子」と言います。非嫡出子は、その父親と血縁上の親子関係はありますが、法的な親子関係がない為に相続権も発生しません。法的な親子関係を発生させる為には、父親の「認知」が必要です。                   

歴史的にみますと、明治から大正時代にかけては、出生数に占める非嫡出子の割合が、8~9%もありました。実数で年間10万人を超えていたのです。しかし、非嫡出子は昭和10年代から減り始め、昭和30年代に激減し、1%台となりました。しかしここ十数年を見ますとはっきりとした変化が現われています。非嫡出子の出生数は1995年は約14,700人でしたが、2011年には約23,300人となっています。出生数全体に占める割合も、1.2%から2.2%に上昇しています。国の統計によりますと、結婚せずに出産し、子育てするシングルマザーは2000年の約63,000人から2010年には約132,000人に増えています。

 

戦前の旧戸籍法と妾について

昭和23年以前の旧戸籍法においては、いわゆる「家」を基本とした大家族制がとられていました。戦前は「家」の存続が最重要視され、後継ぎとして特に男子が求められました。父親が認知し、入籍した婚外子の男子は、嫡出子(婚内子)の女子より家督相続上の優先権がありました。ここで現在では使われなくなった「妾・めかけ」「2号」という言葉が存在しました。戦後世代の人にはとても理解できないことなのですが、「夫が妻以外の女性との間に子を設けることが社会的に公認されていた」のです。また、それが当時の女性を大変苦しめていたのです。中には認知し、父親の戸籍に入籍した男子の養育を正妻にさせるような極めて非情な事態もめずらしくはなかったのです。正妻も妾の女性も「家」「家父長制」の中において、女性としての職業もなく、ほかに身を立てる方法が見つからず、やむなくその状況に放置されてしまったのです。

 

現在の認知と出生届                        婚姻届を市役所へ提出している正式な夫婦に子どもが誕生した場合、出生届を提出しますと、戸籍には夫婦の嫡出子として「長男・長女」として記載されます。これ以外での婚姻届が未提出のいわゆる内縁関係又は事実婚の男女の間に生まれる子どもは母親の戸籍に入れる事になります。その時父親が認知しませんと、子どもの戸籍の父の欄は空欄のままになっており、続柄は「男・女」と記載されます。当然別に存在する父親の戸籍には何も記載されていません。父親が認知届を出すと子どもの戸籍に父親の氏名が記載されます。同時に父親の戸籍の身分事項欄にも子どもの氏名が記載されます。子どもの姓は母親と同一になります。

 

婚姻届と認知届

結婚前の若い男女の間で、女性が妊娠した事がわかった時、すみやかに婚姻届を提出する方法は数多く行われています。出産前に婚姻届を提出できれば何ら問題は起きません。

これに対して、婚姻届が出産の後になる場合は2通りに分かれます。非嫡出子が両親の結婚により嫡出子の身分を取得する事を準正(じゅんせい)と言います。まず、婚姻前に父に認知されていた子が、その父母の婚姻により、嫡出子の身分を取得する事は「婚姻準正」です。もう一方、婚姻後に父が認知する事は「認知準正」です。

 

届出用紙と証人

市役所から受け取れる用紙の中で「国で定められた用紙の為、窓口にて交付します」とされているものが何枚もあります。代表的なものは1婚姻届・2離婚届・3養子縁組届・4養子離縁届・5特別養子縁組届・6特別養子離縁届・7入籍届・8分籍届・9認知届があります。

この内、20歳以上である証人2名の署名・押印が必要とされるのは1・2・3・4です。認知届は父親1名のみで可能です。5と6は裁判所の許可となります。

 

認知届のほとんどは父親が出します。母親が出す場合は少ないですが次のような場合に提出します。

1、女性が出産した時、何らかの事情により、出産の情報が公表もされず、当然に自分の戸籍にも記載されなかった。しかし、後日、自分の子として育てる為に実子であると認知して自分の戸籍に入れる。

2、出産の時、病院内において自分の子が別の夫婦へ渡ってしまった。この事実が分かり、新たに実子と認知して自分の戸籍に入れる。

 

父親が認知しない時

未婚の男女同士の場合において、女性の妊娠が分かった時、お互いに結婚する意志が明確ならば、婚姻届を出す事で済みます。しかし、男性の方に結婚の意思がない場合は、任意で男性に認知届を出してもらう事を求めます。それも拒否された場合は、双方の事情により対応が大きく異なってきます。

 

<調停から裁判へ進める方法>

先に結論を述べます。父親が確かであれば、絶対に認知させる事ができます。「強制認知」と言います。まず、家庭裁判所に対して、「認知を求める調停」を申し立てます。これを調停前置主義といいます。男性がこれに応じない場合は、調停不成立となります。続けてすぐに同様に家庭裁判所に対して「認知請求事件」として訴状を提出します。この時同時に「鑑定申立書」という申立てをします。裁判所が認めればどのように男性が拒否しても「DNA鑑定」が行われます。DNA鑑定を拒否するのは自由です。しかし、裁判での勧告によるDNA鑑定を正当な理由もなく拒否した場合、裁判官の心証は極めて悪いものとなります。その事は判決にも影響を与えます。「強制認知」とはすでに出生している子どもについてのみ可能です。胎児は対象になりません。

 

<DNA鑑定>

裁判所内で行う親子鑑定を公的鑑定といいます。これに対して、裁判所以外で任意にする方法を私的鑑定といいます。公的鑑定は10~15万円程度かかります。方法はDNA鑑定事業者が裁判所に出張して来て、裁判所の中で行います。方法は父・母・子どもの3名の口の中の粘膜等を採取するものです。医療や治療ではなく痛みもありません。採取担当者は当然に医師ではありません。

私的鑑定の費用は3~7万円程度が多いとされています。これは事業者の所へ3人で出かけて行って、そこで採取する方法と、郵便等で送られて来た「採取パック」と呼ばれるものを使い自分達で採取して送り、後日、結果を知らせてもらうという方法に分かれます。

私的鑑定のリスクとはいわゆる「他の人のものと取り換えられてしまう」という事です。事業者が取り換えるのではありません。ですから、費用の多少は考えずに必ず裁判所内で行う公的鑑定をする事が重要でしょう。尚、病院ではDNA鑑定は行いません。又、事情によって、私的鑑定をしたい方は「裁判所認定の事業者」を選んで下さい。一部信用の低い事業者があります。

胎児のDNA鑑定は妊娠10週を過ぎた頃より、子宮内の羊水を使って調べる事が可能です。この胎児の鑑定は私的鑑定になります。公的鑑定ではない為、裁判での証拠とはなりません。即ち裁判所は胎児の父親を決める事はしません。出生後にのみ、父親を決めるのです。事業者が鑑定しますと、父と子が親子である確率は、「99.9%以上親子である」か、又は「100%親子ではない」のいずれかとなります。この時母親も同時にDNA鑑定を受ける必要があります。尚胎児の鑑定は母体にも影響を与えますので、医師と慎重に協議してから実行する必要があります。又、同様の理由から胎児の鑑定は行わない事業者もあります。

 

不倫の場合

男性に妻がいる場合は慎重にする必要があります。もちろん裁判によって認知させる事は可能です。しかし、今度は相手側の男性及び女性から、強い反撃が来る可能性があり、それに耐えて争わなくてはなりません。例を挙げれば、妻から不倫に対する損害賠償を求められる可能性があります。又養育費の支払いや相続権も発生する為、争いは長期となり、混沌としたものになってきます。

 

無効な契約を強要する

女性の妊娠が分かった時、一部の男性は法的に誤った方法で接して来ます。

1、堕胎する費用を支払うので合意して欲しい。

2、生むならば、認知はしない。養育費も払わない

以上のような契約は口頭でも文書でもすべて無効です。人の命、又胎児の命に関する、人道上誤っている契約はそもそも契約ではありません。又、脅迫による契約が有効になる事はありません。

 

認知を拒む理由

認知を拒む理由を幾つか挙げます。

1、養育費の支払い義務が発生する

2、相続権が発生する

3、恥をかかされた

4、女性に対するいやがらせ

5、妻子がいる

6、無責任

 

認知届の撤回(取消し)

一度認知届を提出しますと、原則として撤回はできません。しかし、かつてはDNA鑑定などなく、曖昧なまま認知届を提出した男女もありました。従って、家庭裁判所において、明確に「父子ではない」、又、「母子ではない」と審判されますと、当然に認知届の提出時点に遡って、撤回できます。又、だまされたり、脅迫されて認知をしてしまった場合も、家庭裁判所の審判を経て撤回することができます。

 

妊娠届/母子健康手帳

妊娠がわかりましたら、市町村役場に妊娠届出書(妊娠届)を提出します。受付窓口は「市民課」や「保健センター」です。通常、本人及び代理人でも申請できます。この時、医療機関の証明書は不要とされます。但し、念の為事前に電話をして聞いてから訪ねたほうが確実でしょう。提出しますと「母子健康手帳」(通称 母子手帳)が交付されます。母子手帳は小学校入学前まで、母子の健康記録や育児の手引書として利用されます。

DNA鑑定訴訟

平成26年7月17日、最高裁において「DNA鑑定訴訟」に初の判断がされました。DNA鑑定で、血縁関係がないと判明した場合、法律上の父子関係を無効にできるかどうかが争われた2件の訴訟の上告審判決で、「鑑定で血縁関係が否定されても、父子関係は無効にできない」との初判断が示されました。その上で、無効を認めた、1、2審判決を取り消した。旭川と大阪の両家裁に提訴された2件の訴訟では、いずれも婚姻中の妻が、夫とは別の男性の子どもを出産した。「婚姻中の妻が妊娠した子は夫の子と推定する」(嫡出推定)により、子は夫の子として戸籍に入籍される。また、嫡出推定が適用されないケースとして、過去に最高裁の判例がある。その例外とは、「妊娠時に、夫婦が離婚状態だったり、どちらかが遠隔地に住んでいたりするなど、夫婦間に接触の機会がなかったことが明らかな場合に限る」です。しかし、今回の2件の訴訟の夫婦はこの例外には該当せず、父子関係を無効にはできないと結論づけた。

自力出産/無介助出産

かつては、自宅で出産することは決して珍しいことではありませんでした。しかし、現代ではそれはごく少数となっています。

 

自宅出産でも、助産師による出産は良いと思われます。しかしながら、助産師に頼らない出産は危険が伴います。その中でも、夫がそばにいて、安全を図ってくれたり、出産経験のある女性が手助けをしてくれるのなら、まだいい方です。

 

極めてまれに、母親となる女性一人が、全くの無介助で出産しようとする場合があります。医師の診断を受けたこともなく、母子手帳も持たず、十分な知識も持たずに出産に臨もうとするのです。理由はあるとは思いますが、やめていただきたいと思います。母子ともに死と直面した状況になってしまいます。

 

医師・助産師の立ち合いのない場合の出生証明書

「出生届」の右半分は「出生証明書」となっています。通常は出産に立ち会った医師・助産師が証明してくれます。自宅出産の場合は、「その他」の立会人が書けるようになっています。夫や家族が記入して市役所に提出します。

ただ、市役所の職員は、このような事例を経験している人がほとんどいません。したがって、受理するのに混乱してしまいます。夫や家族の証明の場合、すぐに受理してもらえることは、ほとんどないと考えられます。

会人が全くいなかった場合は左側の「出生届」のみを記入して、右側の「出生証明書」の欄は空白のまま提出します。

 

市役所は「法務局に出生届を受理しても良いか許可を求める」のが大半になります。理由は「自分達の子ではない赤ちゃん」が不正に入籍されるのを防ぐためです。

 

法務局は聞き取り調査と実地の調査をするようです。

当然に「証拠」の提出を求められます。

母子手帳・医師による妊娠時の検診結果・母となった女性の妊娠中の体の写真・出産後の母子の写真・へその緒の写真等が証拠となります

また出産に至った「申述書」の提出も求められます。

 

全くの単身で、周囲に妊娠を隠して来て、出産してしまった女性には、何の証拠も残っていない場合が考えられます。しかし、DNA鑑定をして母子の証明は可能です。必ず出生届は受理され、子の戸籍は作られます。

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[行政書士みうら法務事務所制作 イメージ映像(離婚・生活保護申請)]