行政書士みうら法務事務所

<最良の解決策をご一緒に考えましょう>

入籍・除籍・分籍・選択的夫婦別氏(別姓)制度

<入籍>

入籍とは婚姻届や出生届を提出することによって、「すでにある戸籍に新たに個人が書き加えられ、登録される」ことです。婚姻届と同義語ではありません。結婚と入籍とは法律上同じではありません。結婚とは婚姻届を提出することであり、入籍届を提出することではありません。入籍届とは、例えば、母親が離婚した際、まず新たに母一人の戸籍を作成し、その後、元夫の戸籍に残ってしまっていた子の氏を家庭裁判所の審判を経て変更し、母と同じ姓にした後、母の戸籍に入籍させる場合を指します。婚姻の対義語は離婚です。入籍の対義語は除籍です。

ですから、初婚同士の男女が婚姻届を提出し、新たに新戸籍を作成することを「入籍」というのは誤りです。又この時戸籍筆頭者は、氏を名乗る方がなります。

 

<除籍>

よく誤解されて使用されてしまうのが「除籍」という言葉です。親子で争った時、勘当(かんどう)する、あるいは親子の縁を切ることの意味で使用する方がいます。法律上実子との縁を親、又は子から一方的に独断で切ることはできません。ですから、親子のいずれかから、「除籍」すると言う言葉を使用するのは全くの誤りであり、むろんそのような法律的行為は元々ありません。当然に家庭裁判所が認めることもありません。

除籍とは二つのことを指しています。

1、死亡・結婚・離婚等により、ある人が戸籍から除かれること。

2、全員が除籍されて、除籍簿に入った戸籍のこと。

 

<分籍届>

分籍届とは、戸籍筆頭者ではない未婚の成年者が一人だけ戸籍を分ける場合に提出します。親子で争ったから、という意味ではありません。趣味的に分籍を利用する方もいます。例えば、皇居に本籍を置くこともできます。大阪では、甲子園球場に本籍を置く方も大勢います。しかし、最も意味のある実務的な使い方は、「親が離婚・再婚、または養子縁組をして、姓が変更になる場合」です。この時、未婚の成人している子どもがいた場合、その子(成人)の姓も一緒に変更されてしまうのです。成人していて、仕事をしていれば、姓を変更しないほうが好都合です。この時、「分籍」をするのです。そうすれば、子の姓は元のままでいられるのです。分籍届は一人の意思で単独で可能です。親の同意や第三者による証人等は必要ありません。ただし、分籍のことがよく知られていないために、実際に分籍届を提出する人は多くないようです。又、一度提出しますと、元の戸籍に戻ることはできません。女性が非嫡出子を産み、出生届を提出しますと、市役所によって新たに母子のみの新戸籍が作成されます。現在の戸籍作成の基準は、親子2代限りが入れることと、同一の姓の親子が入ります。三世代は入りません。また、結婚の時、婚姻届を提出しますが、これは分籍ではありません。分籍届を提出した本人が、将来「被相続人」となった場合、相続人が、亡くなった方の戸籍を調査します。この時、1件余分にこの時の戸籍を取得する必要があります。

 

特に女性が分籍して戸籍の筆頭者になっている場合、「過去に結婚したことがある」または、「出産したことがある」と第三者から勘繰られてしまうことがあるので、注意しなくてはいけません。

 

このほかに、分籍が利用されるのは、両親がすでに亡くなり、成人した子が戸籍に残ってしまった場合です。本籍地と遠く離れて生活していますと、不便なこともあります。戸籍の転籍は筆頭者と配偶者のみに許されており、子には出来ません。この場合は、子の意思で分籍することによって、本籍地を移すことが出来るのです。

 

<戸籍の保管期間>

平成22年の戸籍法の改正により、除籍簿の保管期間がそれまでの80年間から150年間に変更になりました。戸籍は元々歴史資料として貴重なものであり、適正な改正と言えます。又、この変更の直前まで、各市役所によって該当する除籍簿の廃棄が進められてきました。その為、昭和初期の貴重な戸籍は、すでにかなり棄てられてしまった可能性があります。

 

<選択的夫婦別氏(別姓)制度>

現在の民法のもとでは、結婚に際して、男性又は女性の一方が、必ず氏を改めなければなりません。そして現実には男性の氏を選び、女性が氏を改める例が圧倒的多数です。ところが女性の社会進出等に伴い、改氏による社会的な不便や不利益が発生することから、選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)の導入を求める意見があります。

平成8年に法制審議会が「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申しました。この中で「夫婦は婚姻の際に定めるところに従い、夫もしくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」とした選択的夫婦別氏制度の導入が提言されました。

この方針を受け、法務省は平成8年及び平成22年にそれぞれ改正法案を準備しましたが、国民各層にさまざまな意見があること等から、いずれも国会に提出するには至りませんでした。

 

平成27年12月16日、最高裁大法廷において、夫婦同姓についての民法の規定についての、合憲・違憲について、初めての判断があり、「合憲」との判断が下されました。